今年の賃貸繁忙期は、これまでに見られなかった現象がいくつも起きています。まず大きな変化として、空室がほとんど発生しないという点が挙げられます。例年であれば 1 月から 4 月にかけて退去が集中し、クリーニングや原状回復の手配に追われる時期ですが、今年は驚くほど落ち着いています。その影響で、新規に部屋を探す人の数も明らかに減っています。
背景には、物価高による生活の圧迫があります。これまで引っ越しをしていた層が、生活費や引っ越し代の負担増によって「もう動けない」という状況に追い込まれている印象です。一方で、より安い部屋へのシフトは確実に起きており、都内や都内近郊の比較的家賃の安い物件には非常に多くのアクセスがあります。逆に、いくら家賃が安くても郊外で駅から遠い物件は、従来と同じく反応が弱いままです。
もう一つの大きな変化は、都内の条件の良い物件が、家賃を上げてもすぐに決まってしまうという点です。新宿区で扱っている広めの物件では、家賃を 1.2 倍にしても 2 日で成約しました。さらにもう 1 部屋を 1.3 倍で出したところ、こちらも 1 週間以内に決まっています。ヒアリングでは「1.5 倍でも決まる」という声もあり、都内の好条件物件の家賃は想像以上に高騰しています。
サラリーマン投資家にとっては、投資額と利回りのバランスから都心一等地の購入は難しい状況が続きますが、キャッシュのある富裕層にとっては、将来的な利回り上昇を見据えた物件選びとして十分に意味があると感じています。
一方で、今このタイミングで空室を抱えているオーナーは、かなり焦りを感じているかもしれません。ただ、いくつか有効な対策があります。まず一つは AD(広告費)を上げることです。現在、客付け営業はノルマ未達で焦っており、例年以上に広告費アップの相談が増えています。これまで 200 だったものを 400 にするだけでも、問い合わせが増えて決まりやすくなる可能性があります。
また、オーナー負担は増えてしまいますが、フリーレントの設定も非常に有効です。この時期を逃すと長期空室化するリスクが高く、空室期間が長くなるほど部屋も傷んでしまいます。多少の負担が増えたとしても、早めに決めてしまう方が合理的な選択になるケースが多いと考えています。
今年の繁忙期は、退去が出ない一方で、条件の良い物件は家賃を上げてもすぐ決まるという“二極化”が顕著です。市場の動きを正しく捉え、オーナーとしてできる対策を早めに講じることが、長期空室を避ける鍵になりそうです。
