日本は戦後、驚異的な経済復興を遂げました。日本各地に工場が立ち並び、低コストで高品質な製品を大量に生産し、世界中へ輸出することで経済成長を実現しました。
しかしその後、いわゆるグローバルサウスやBRICSといった新興国が台頭し、安価な労働力を武器に日本企業の生産拠点が次々と海外へ移転していきました。その結果、日本国内の雇用は徐々に失われ、特に地方では工場の撤退が相次ぎ、仕事が減り、賃金も下がっていきました。
当時はまだ円が強かったため、賃金が下がっても輸入品を安く購入でき、生活は何とか維持できていました。しかし、この状況が長期のデフレを定着させ、物価が下がり続ける時代が2018年頃まで続いたように思います。
不動産投資の世界でも、「物件価格は将来下がる」「家賃も下がる」という前提が共有され、価格や金利にもその考え方が反映されていました。
ところが近年、日本のデフレは終わり、円安が進行しました。こうなると、賃金が低く、雇用も不安定な層にとって生活は急速に厳しくなります。給料は上がらないのに物価だけが上がる世界です。
一方、東京など大都市圏で大企業に勤めるサラリーマンは、メーカーであれば海外事業の利益や配当の恩恵を受け、賃金も上昇しています。しかし、地方で取り残された労働者は、賃金が下がる一方で物価が上がるという非常に厳しい状況に置かれています。
こうして日本国内でも貧富の差が拡大し、海外から利益を得られる層とそうでない層の格差が広がりつつあります。
不動産投資においても、この現実を踏まえた行動が求められます。具体的には、
- 今後もインフレとともに地価が上昇し続ける大都市圏に投資する
- あるいは高利回りの地方物件で、投下資本を早期に回収する戦略を取る
といった判断が必要になってきます。
このような構造変化を理解した上で、今後の投資行動を考えることが重要ではないでしょうか。
以上のように、日本経済は長いデフレ期と産業構造の変化を経て、いま大きな転換点に立っています。
海外で利益を生み出せる企業や都市部の労働者はインフレの波をプラスに変えられる一方、地方では賃金が伸びず物価だけが上がるという厳しい現実が広がっています。これは単なる景気の良し悪しではなく、構造的な格差が固定化しつつあるということです。
不動産投資も、この構造変化から逃れることはできません。
むしろ、最も影響を受ける分野のひとつです。
だからこそ、投資家はこれまでの「デフレ前提の常識」を捨て、
インフレ時代の新しい前提で戦略を組み立てる必要があります。
具体的には、
- 人口・所得が集中し、地価がインフレとともに上昇し続ける都市部に投資する
- 地方物件は“利回り”ではなく“回収速度”で判断し、短期間で投下資本を回収する
- 家賃上昇が見込めるエリアと、家賃が上がらないエリアを明確に区別する
- 海外マネーが流入する都市部の動きを注視し、波に乗る
といった視点が不可欠になります。
つまり、これからの不動産投資は、
「どこが安いか」ではなく「どこが伸びるか」
「利回りが高いか」ではなく「資本が回収できるか」
という基準で判断する時代に入ったと言えます。
経済の構造が変われば、勝ち筋も変わります。
その変化を正しく理解し、時代に合った戦略を選べるかどうかが、
これからの10年を大きく左右するのではないでしょうか。
