不動産投資は、単なる投資というより「賃貸経営」という一つの事業です。そのため、会社経営と同じように「会計的な視点」を持つことが成功の鍵となります。
前回のブログでは、40歳の会社員(年収1,000万円)がフルローンで物件を買い増していくシミュレーションをお見せしました。今回はさらに一歩踏み込み、「積み上がったキャッシュフロー(現金)を使って、利回り9%の築古アパートを無借金で買い増していく」という複利効果を加えたシミュレーションをご紹介します。
不動産投資において、経営の安全性を測る上で特に大事な指標となるのが「返済比率」と「自己資本比率」の2つです。 ・返済比率の目標:50%未満(事業拡大の初期など、一時的に超えるのは仕方ありません) ・自己資本比率の目標:20%以上
それでは、この基準を念頭に置きながら、以下の条件で20年間の推移を見てみましょう。
【シミュレーションの前提条件】 ・投資家プロフィール:40歳・会社員(年収1,000万円) ・基本戦略:4年に1回、価格1億円・利回り6.5%の築浅物件をフルローン(金利2.7%・期間35年)で購入 ・再投資戦略:手元資金(CF)が2,000万円貯まるごとに、価格2,000万円・利回り9%の築古アパート(年間家賃180万円)を現金で購入する (総資産=物件価格+手元現金、自己資本=総資産−ローン残債として簡易計算しています)
【20年間の会計的シミュレーション推移】
| 年次 (年齢) | 1億円物件 | 現金購入アパート | 売上高 | 利益 | 返済比率 | 自己資本比率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1年目 (40歳) | 1棟 | 0棟 | 約650万円 | 約380万円 | 68.0% | 3.7% |
| 2年目 (41歳) | 1棟 | 0棟 | 約650万円 | 約385万円 | 68.0% | 7.3% |
| 3年目 (42歳) | 1棟 | 0棟 | 約650万円 | 約389万円 | 68.0% | 10.9% |
| 4年目 (43歳) | 1棟 | 0棟 | 約650万円 | 約394万円 | 68.0% | 14.3% |
| 5年目 (44歳) | 2棟 | 0棟 | 約1,300万円 | 約779万円 | 68.0% | 11.0% |
| 6年目 (45歳) | 2棟 | 0棟 | 約1,300万円 | 約789万円 | 68.0% | 14.4% |
| 7年目 (46歳) | 2棟 | 1棟 | 約1,300万円 | 約799万円 | 68.0% | 17.7% |
| 8年目 (47歳) | 2棟 | 1棟 | 約1,480万円 | 約990万円 | 59.7% | 21.6% |
| 9年目 (48歳) | 3棟 | 1棟 | 約2,130万円 | 約1,380万円 | 62.2% | 18.8% |
| 10年目 (49歳) | 3棟 | 2棟 | 約2,130万円 | 約1,396万円 | 62.2% | 22.4% |
| 11年目 (50歳) | 3棟 | 2棟 | 約2,310万円 | 約1,592万円 | 57.4% | 26.3% |
| 12年目 (51歳) | 3棟 | 3棟 | 約2,310万円 | 約1,608万円 | 57.4% | 30.0% |
| 13年目 (52歳) | 4棟 | 3棟 | 約3,140万円 | 約2,185万円 | 56.3% | 27.4% |
| 14年目 (53歳) | 4棟 | 4棟 | 約3,140万円 | 約2,207万円 | 56.3% | 31.2% |
| 15年目 (54歳) | 4棟 | 5棟 | 約3,320万円 | 約2,409万円 | 53.2% | 35.0% |
| 16年目 (55歳) | 4棟 | 6棟 | 約3,500万円 | 約2,612万円 | 50.5% | 38.8% |
| 17年目 (56歳) | 5棟 | 7棟 | 約4,330万円 | 約3,196万円 | 51.0% | 36.5% |
| 18年目 (57歳) | 5棟 | 8棟 | 約4,510万円 | 約3,405万円 | 49.0% | 40.3% |
| 19年目 (58歳) | 5棟 | 9棟 | 約4,690万円 | 約3,615万円 | 47.1% | 44.1% |
| 20年目 (59歳) | 5棟 | 10棟 | 約4,870万円 | 約3,826万円 | 45.4% | 47.8% |
| (注:現金購入したアパートの家賃収入は、翌年の数値から売上・利益に反映される計算としています) |
【シミュレーションから読み解く2つのポイント】
- 自己資本比率「20%以上」の確実な達成と加速 自己資本比率(純資産の割合)は、初期こそ一桁台ですが、着実に利益が貯まりローン元本が減ることで、現金購入が始まる8年目には「21.6%」と目標の20%を突破します。物件をフルローンで買い増すたびに比率は一時的に下がりますが、無借金のアパートが加わることで回復スピードは劇的に早まり、20年目には50%に迫る極めて強固な財務体質が完成します。
- 「現金の再投資」が返済比率を改善する フルローンのみの戦略では返済比率が常に68.0%と高止まりしますが、今回は「無借金のアパートからの家賃収入」が上乗せされるため、分母である売上高だけが増加していきます。その結果、11年目には50%台まで下がり、18年目には目標である「50%未満」を自然と達成します。 事業拡大のフェーズにおいて一時的に返済比率が50%を超えるのは仕方ありません。大切なのは、貯まった利益を「次のキャッシュを生む無借金資産」に変えることで、最終的に返済比率を安全圏に引き下げるという明確な出口戦略を持つことです。
このように、目の前の家賃収入だけでなく、複利の力を使って貸借対照表(バランスシート)を強くしていく過程を理解することが、ブレない投資判断につながります。
弊社では、目先の数字だけでなく、こうした会計的な視点や将来の出口戦略まで見据えたアドバイスをさせていただいております。世田谷を本店としつつ全国の不動産を取り扱い、戸建・マンション・アパート・土地・収益物件の管理・トラブルなど なんでもご相談を承っております。相談はもちろん無料ですので、ぜひお気軽にお声がけください。
